フィリピンカカオを広める活動ができないか?と思って、草加でこの店を開くことにしました。

ローカルWEBメディア・地域サイト 草加ローカルストーリー 増田恭子さん チョコレート 専門店 cocomas chocolate

草加駅から数分歩いたところにある商店街に、チョコレート専門店cocomasがあります。店内は、ゆとりのある空間にチョコレートやカカオなどの製品がきれいに陳列されています。店舗デザインからパッケージ、グッズ、もちろんチョコレート製品まで全て一人で手掛けているという店主の増田さんに、なぜ草加にチョコレート専門店を作ろうと思ったのかを聞いてみました。


チョコレートには幸せホルモンが入っている

子供の頃から、おやつを買っていいよとお金を渡されると、決まって近くの駄菓子屋さんでチョコレートを買っていました。昔から異常なほどチョコレートが好きだったんです。

後になって知ったのですが、チョコレートって幸せホルモンと同じ効果の成分が含まれているんですよ。

チョコレートを食べ始めると、止まらなくなってしまうことってあるじゃないですか。あれって実際に気分が良くなる成分が入っているからなんですよね。

 

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ずっとチョコレートは好きだった

大学を卒業して日本航空(JAL)に入社してCAをしていました。2年目から国際線の担当になってからはフライト先で、様々なチョコレートを買っていました。特に、ヨーロッパでは多くのチョコレート屋さんがあったのでよく買っていましたね。

4年ほど働いていたのですが、体力的にも大変で、いつまでも続けていられる職業でもないと思い、JALを退職し、その後は都内の設計会社や食品会社、広告代理店などで働いていました。

ソムリエの勉強がきっかけでカカオに興味を持つようになった

ワインとチョコレートが似ている

実家が飲食店だったこともあり、飲食店で食事をするのはずっと好きでした。両親もよく連れて行ってくれたので、外へ食べに行くことが生活の一部みたいな感じでした。食べることに興味があったので、フードコーディネーターの資格をとり、さらにソムリエの資格をとる勉強をしていた時がありました。

その時、ワインとチョコレートが似ているなと思ったんです。

チョコレートは当時もよく買っていました。その頃はシングルオリジンという産地別のチョコレートが出はじめてきていた時だったのですが、そのカカオと砂糖だけで作られたシングルオリジンのチョコレートを色々と試していた際、パッションフルーツとかオレンジのような味のものがあり、びっくりしたんです。

ワインが産地別に語られているように、これからはチョコレートもカカオの産地ごとに味や香りを楽しむ時代が来るんじゃないか?とソムリエの勉強をして感じたんです。

そんなこともあり、それまでチョコレートが好きだったのが、だんだん原料であるカカオに興味を持つようになっていきました。

 

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好奇心を埋めるだけのために行ったフィリピンで

カカオを見たいという好奇心から

2015年、当時働いていた会社の業務上のポジションが変わるタイミングで会社をやめることにしました。その時は、しばらくゆっくりしようと思っていたのですが、ふとカカオを見に行きたいなと思ったんです。

カカオと言ったら南米やアフリカが有名ですが、フィリピンでもカカオを育てていることを知りました。英語圏で、しかも同じアジアということもあり、行きやすいフィリピンに行ってみることにしたんです。ただ、いきなり行っても、あてもなければ手掛かりもないので、現地で語学学校に通いつつ、カカオを探すことにしました。

ようやくカカオの木を見ることができたのは、語学学校の最後の方です。一度帰国したのですが、同じ地域でNGOスタッフの募集を見つけ、再びすぐにフィリピンへ戻りました。

自分の好奇心を埋めるために行ったフィリピンですが、ボランティア活動をしたり、現地で畑を借りてカカオを育てているうちに気づいたら二年が経っていました。カカオって、実がなるまで二年くらいかかるんですよね。

その滞在で知ることになったのは、フィリピンでせっかく品質の良いカカオを作っても、大手から安い値段で買い叩かれていて、カカオを作っても作ってもお金にならないという現実でした。

カカオを栽培している人のために何かできないかと思っていたところ、現地の人たちは、日本とか国外にフィリピンカカオを広めて欲しいと思っていることがわかってきました。

 

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チョコレート専門店を草加に

帰国後、すぐにお店の場所を探し始めました。当初はカカオの小売りだけをしようと思っていたのですが、味を知ってもらうためには、チョコレートにした製品を売りつつ、カフェを営業するスタイルにした方が色々な人が購入しやすいだろうと思い、お店を構えることにしました。

はじめは都内で探していたのですが、条件に合う物件はなかなかありませんでした。それで実家が草加ということもあって草加で探してみたところ、この物件を見つけました。

ここは商店街なのですが、シャッター通りなので夜は真っ暗になってしまいます。そんな通りにお店ができたら、それだけで明るくなるような気がしたんですよね。

 

少しでも草加を活性化することができたら

都内で会社員として働いていた時は、通える距離であるにもかかわらず、都内に住んでいた時期もありました。当時は、おそらくそれほど草加に愛着がなかったように思います。

自分だけでなく昔から、草加に住んでいる人って草加に愛着がない人が多いように思うんです。草加ってベッドタウンで、都内にお金を使って草加には寝に帰るだけって言われていますよね。

それも寂しいなと思ったんですよね。大袈裟かもしれないけれど、少しでも草加を活性化することができたらと思っています。

フィリピンカカオを広めたい

フェアトレードでカカオを買っている

フィリピンで現地のカカオについてリサーチを行なったり、畑を借りてカカオを育ててきた経験があるので、信頼ある現地の方々から品質の良いカカオを仕入れることができています。フィリピンのカカオは一般的にあまり知られていないかもしれませんが、とても品質が良く、高いポテンシャルを持っているんです。

フィリピンで作られた多くのカカオが大手によって安く買い叩かれてしまっている中、現地に買付に行き、直接フェアトレードで適正な価格でカカオを仕入れています。そうすることによって、少しでも農家の方たちの生活が良くなり、さらには良い品質のカカオが生産されることにつながるんじゃないかと思っています。まだ自分のところで販売する量しか仕入れることができていないので、これからもっともっと広めていきたいと思っています。

今後は、カフェの場をどんどん活用していきたいですね。ソムリエの資格を持っているので、チョコレートとお酒のマリアージュを提案したり、チョコレート作りや、チョコレートを学ぶワークショップなどもやっていきたいと思っています。

 


二年もの間、フィリピンで畑を借りてカカオを育てるという並外れた行動の理由を聞くと「単に好奇心を満たすため」との答えが。好奇心を満たした先に、現地の課題と向き合い、草加にお店を開くまでに至るストーリーを聞き、行動力だけではない強さを感じました。早速、草加の近隣の個人店では、cocomasのカカオを取り寄せて商品化しているところもあるそうです。今後、草加の名産の一つとしてフィリピンカカオが広まっていくようなこともあるかもしれないと楽しみにしています。

 

 

インタビュー場所

cocomas chocolate 〒340-0034 埼玉県草加市氷川町709−104