自分にとって草加は、学生の頃から今でもずっと「みんなで集まる溜まり場」みたいな場所なのかもしれないですね。
- 2020年7月15日
- 緑川敦
草加が地元で、友達も草加の人が多いという緑川敦さん。15年間お店を経営してきて、さらに草加での知り合いが増えていったそうです。そんな緑川さんに、これまでどのようにして草加で人との繋がりを作ってきたのかを聞いてみました。
遊ぶのもアルバイトをするのも、すべて地元の草加だった
学業そっちのけでアルバイトしていたバーでは、個性的な人ばかりで本当に楽しかった。
大学時代に、サファイアという草加で老舗のダイニングバーでアルバイトをしていました。カクテルを作ったりするのが楽しそうと思って始めてみたのですが、楽しすぎてかなりハマっていましたね。
濃いキャラクターのお客さんが多く、従業員の人たちも、個性的な人とか、人間味があって憧れるような人とか、とにかくかっこいい人ばかりでした。仕事をきちんとしていれば服装は自由だったので、当時若かった自分は、金髪にピアスというような風貌でした。
毎日が本当に刺激的で、学業そっちのけでアルバイトに熱中していました。大学を卒業してからも、そのまま居候のような形でアルバイトを続けていましたね。
当時は、草加にあのようなおしゃれな雰囲気のバーがほとんどなかったので、本当に盛り上がっていて、毎晩パーティみたいな感じでした。
いずれ草加で店を持つという気持ちは、常にあった。
住まいは、草加の隣の八潮市でしたが、高校は草加の高校に通っていましたし、学生の頃から草加駅周辺が、みんなの集まる場所でした。
バーでの仕事を通して、個人店にくるお客さんは面白い人が多くて楽しいと感じていたこともあり、いずれ自分の店を開こうと、ずっと思っていました。もともと草加駅が溜まり場だったので、草加にお店を開くことしか考えていなかったです。
サファイアでは、その後アルバイトというよりも半分社員のような立場になり、週に何日か責任者として任せてもらったりしていました。
何年かそんな生活をしていたのですが、このままだと、自分の開業するお店がサファイアの二番煎じみたいなお店になってしまうんじゃないかと。それで、他の料理を学びたかったこともあり、都内のお店でも経験を積むことにしました。
お店のお客さんは、ほぼ草加に住んでいる人
バーを開業。お店をきっかけに、お客さん同士が繋がるようになっていた。
15年ほど前に草加駅前にバーをオープンしました。今より敷地の広いところで、自分の他にアルバイト二名くらいの体制で営業していました。
そのバーでは、オープンしてから三年目くらいの時から、定期的にイベントを行っていました。当時、facebookが出てきたばかりの頃だったこともあり、イベントの様子をお客さんが自分のタイムラインに上げてくれたりしていました。そのおかげで、盛り上がっている様子を拡散してくれていたように思います。当時のイベントでは、1日で最大150人ものお客さんが来る日もありましたから。
イベントは、周年パーティ、ハロウィン、BBQと、季節ごとに行っていました。準備は大変でしたけど、楽しかったですし、新しいお客さんが増えていくのが嬉しかったですね。イベントでは、お客さんが知り合いを連れてきてくれるので、その人たちがまたお店に来てくれたりしていました。
お店をきっかけに結婚したり付き合ったりする人も出てきました。
お客さん同士がつながるためにしていることですか?月並みな言い方かもしれないですけど、アットホームな雰囲気を心がけています。
みなさん、キャラクターは濃いけれど、いい人たちばかりなのでお客さん同士で喧嘩するということもないですね。相性の悪そうなお客さんは、意図的に席を離したりすることはありますけど。
食べにきているというより、話しにきている人が多いかもしれないです。「誰かいるかも?」と思って、仕事の帰りに寄っていく人も多いと思います。
今の場所に移ることにしたのは、アルバイトの人が集まらなくなってきたことが大きいです。当初は、店頭に募集の張り紙をしただけで希望者が来ていたのですが、最後の方は、広告をかけても来なくなりました。アルバイトの調整が難しく、団体さんの予約が入っても、準備をするのにギリギリというようなピンチを何度か経験しました。そうなってくると、この先、30年40年先もやっていけるのか不安になっていました。
バーは、12年ほどやっていたのですが、最後の3年くらいは、もう少し小さいところに移ろうと場所を探し始めていました。
路地裏に「酒場みどり」として移転。今までとは違うお客さんも来るようになった。
昔からの知り合いから、この場所が空くという噂を聞き、翌日には不動産屋に行っていました。
当時やっていたバーの物件を扱っている不動産屋さんが、この物件も担当しているだろうということは、なんとなく分かっていました。
聞くと「早いねー。明日出そうと思っていたんだよー。」なんて言われましたね。
すぐに決まってしまうだろうと思っていたので、その場で即決しました。
「酒場みどり」としてスタートしてから、お客さんの年齢層が広がったように思います。路地裏ということもあり、今まで来なかったようなお客さんも来てくれるようになりました。以前は、二階のテナントだったので、70代の方がぷらっと入ってくることはなかったのですが、この場所は、年配の方も入りやすいのかもしれませんね。
今後も色々な人たちの「溜まり場」になれば
今後ですか?大それた目標があるわけではないんですよ。
地元の人たちが集まれる場を作りたいと思って開いたお店ですが、実際に開いてみると、その時々で関わる世代が変わっているのを実感しています。
同世代の友達は、子育てが忙しい時期になると来なくなったのですが、その代わりに、少し下の世代の人たちが来てくれました。そして、その世代の人たちが同じように子育てで忙しくなってくると、子育てが落ち着いた同世代の人がまた戻って来るようになり、さらに最近は、年配の方も来てくれるようになりました。
もう、自分がサファイアでアルバイトを始めた時のマスターの年齢を、とっくに超えているんですよ。お店を経営してみて、人を育てることの難しさを実感しましたし、それを諦めてきた部分もあります。けれど、サファイアのマスターは、今でも従業員を雇い続けているのを見ると、本当に尊敬しますね。
今後も、末長く付き合えるお客さんが増えていくと嬉しいですね。「今日行ったら誰かいるかなー?」と、足を運んでくれる。いつまでも、そんな人たちの溜まり場になっていたらいいなと思います。
インタビュー場所
酒場みどり 〒340-0015 埼玉県草加市高砂2丁目19−31
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