つなぐばが、草加で地域の人たちに必要とされる場所で在り続けたい。

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草加市の新田駅から徒歩15分。駅から少し離れた住宅街の、緑豊かな公園に面した場所にとても賑やかなカフェがあります。

2020年6月に、オープンして丸2年を迎えたシェアアトリエつなぐば。オープンから2年経った現在の草加とつなぐばへの思いを、松村美乃里さんにお伺いすることができました。


草加には「場所」さえあれば活躍できる人がたくさんいる。

「私が故郷を愛しているように、自分の子供にも草加に愛着を持ってほしい。」と思ったのがきっかけ。

私は静岡出身で、海もあって山もあって富士山もある、気候も温暖でみんな穏やかな性格をしている、そんな静岡が大好きなんです。

結婚を機に草加に家を買って引っ越して来てから「なんで草加に来ちゃったんだろう。。」と思っていました。だって、草加ってなんにもないじゃないですか。最初は本当にそう思っていました。最初は草加に対してなんの愛着もなかったのですが、子供が生まれたときに変わったんです。自分が故郷を愛しているように、子供にも生まれた場所を大事にしてほしい、と思うようになりました。

それにはまず、自分が草加を好きにならないと子供も草加に愛着が持てないな、と思いました。草加で、草加に対して何かしたいと、その時思ったんです。

 

小さくても良いから誰かのための空間を作りたい。

そんな時に草加市主催の「月3万円ビジネス(以下、3ビズ)」に出会いました。

3ビズは、月3万円くらいの小さなビジネスを自分らしくやっていこう。というもので、一緒に事業をやる仲間が欲しい、自分が好きなことで3万円稼ぎたい、という方たちが参加していました。

そこにはお菓子を作ることができるなど、色んな能力がある方たちが集まっていて、私は小さくても良いから誰かのための空間を作りたいと思い「どこでもゴヤ」というビジネスを始めました。元々私は空間デザイナーをやっていたので、それを活かしてマルシェに出店した人のために小さな屋台やディスプレイを作るお手伝いをしました。

この時「草加には”場”さえあれば活躍できる人が沢山いる。」と気づき、リノベーションスクールを経て、つなぐば家守舎は始まりました。

 

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「つなぐば」という場所。

”DIO(Do It Ourselvs )”。欲しい暮らしは私たちで作る。

「自分たちがやりたい場所を、無いなら自分たちで作っていこうよ。」そういう場所を等身大で作り上げたのが、つなぐば家守舎が運営する「シェアアトリエつなぐば」です。(つなぐばのホームページはこちら:つなぐば家守舎

2階には、住居・美容室・建築事務所の住宅・商業スペース、1階はカフェ兼アトリエスペースとなっています。

企画当初は、皆さんが活躍できる「アトリエ」を作ろうとしていましたが、それではアトリエ利用者だけの閉じられた空間になってしまうので、そこに「カフェ」を併設することで草加の街の人とも交流できるようにしました。

基本的には軸がブレないよう、家守舎運営とアトリエ利用者の中でもコアメンバーで作り上げていて、そこに共感してくれる人が集まれるようになったら良いよね、と話し合っています。お店を始めたりとかはもちろん、子育ても仕事も、1人でやるのって本当に大変だと思います。だからこそここで、一人では大変な部分をみんなでシェアしていければ良いな、と思っています。

こんな風に、内装もだけど、中身も自分たちで作っていくのがつなぐばだと思っています。

 

自然と友達のように、つなぐばにいるときは家族のような関係になれたら良いな。

自然とここにいるときは友達や家族のような関係になれたら良いなと思っています。例えば子供がいたずらをしていても、なかなかよその家の子供を怒れない人が多いですよね。そこを、みんなで子育てしていくような空気になっていくには、ある程度お客さんとコミュニケーションが取れていたら自然にできるのかなって思っています。

私の子供も、街の人とここでお喋りをしたり、お姉ちゃんたちと仲良くさせてもらってて良い関係だなと思います。

ここは、普通のカフェと違って駅から遠いですし、理由がないとわざわざ来ない場所だと思うんですよ。ご飯を食べるだけに来るというよりは、一番は繋がりを求めて来る人が多いです。

なので、出来るだけスタッフもお客さんとの会話を楽しむようにしています。

 

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「つなぐば」を始めて。

人に頼る・任せることができるようになった。

リノベーションスクールでつなぐばの事業のプレゼンをしたので、自分が言ったことには責任を持とうと思い、1人で全部やろうとしていました。でも、子育てをしながら「これ以上は絶対無理。。!」という限界を何回か感じたんです。一時期、私が家庭をないがしろにしているような状況にもなっちゃって、家族を犠牲にしてまでなんのためにここを始めたんだろうって思いました。

さらに、家守舎と利用者さんとの間で、歯車が噛み合わず、上手くこちらの気持ちが伝わらなくなってしまった時があるんです。コアメンバーで場を作っていくと言っても、お金が必要になる場合もあるので、最終的に決めるのは運営のつなぐば家守舎になってしまいます。そうすると利用者さんの中では沢山意見を言っても無駄じゃんって思う人もいました。

私を含む運営側は、あまり表に出さない性格のためか、すっごい頑張っている姿とか見えづらいので、そんな時は他の利用者さんが間に入って思いを伝えてくれたこともありました。

1人でやってる場所じゃないからこそ、誰かの助けだったり、自分が持っていないセンスや力だったり、色んなものが入って逆に良いんじゃないかと思えるようになりました。

私は不器用で、同時に器用に色んな事ができないんですよ。ひとつのことしかできないから、できない部分を人に協力してもらい今は本当に感謝しています。

 

地域や利用してくれている人にとって必要な場所で居続けたい。

今後はカフェの仕事はやりたい人に任せて、草加の地域の人が持っている古民家をリノベーションして、2号店、3号店へと広げて行きたいです。今は古物商許可を申請していて、近所で古民家の解体があった時などに建具や籠やオブジェを頂いてきてるんですね。今まではつなぐばに使ったりしていたものを、今後は販売したり、デザインに使ったりしていきたいです。古いものを受け継ぐというか、大事にしていきたいなって思っています。

つなぐば家守舎株式会社を立ち上げてから、100%つなぐばの仕事をしています。今はつなぐばが繋がるためのデザインがしたいと思っています。

利用者さんが沢山増えることが大切なのではなくて、一人一人と向き合っていくためには人数は今くらいが良いと思っています。人が入れ替わりながら、この場所を継続させていきたいです。

継続することは本当に大変だし、3ビズ精神論のやりたいことを小さく仕事にしていくことも難しいです。だからこそ体現していきたいと思っています。デザインの仕事も好きだし、カフェの仕事も好きだけど、子育てにも集中したい。全部は一気にできないから、良いバランスをとりながら、みんなとシェアして、最終的には自分が幸せに暮らしていけたらいいなって思っています。

つなぐばの形は時代によって変わっていくと思うのですが、将来子供が大人になっても、この場所が草加にとって必要な場所で居続けられたら良いなって思います。

 


ご自身のことを「私はとっても不器用なんです。」とおっしゃった美乃里さんがとても印象的でした。だからこそやりたいことをみんなで作っていこう、という美乃里さんの思いは多くの人に届くと思います。つなぐばで取材をさせていただいた時、店内には利用者さんの作品が飾られているのを拝見しました。色んな人の人生が少しずつ詰まっている、そんな場所なんだな、と感じました。

 

インタビュー場所

シェアアトリエつなぐば 〒340-0006 埼玉県草加市八幡町935−4